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のちの神崎大樹である

私はサッカーをしています。
遊びではなく、競技として行っています。
ポジションはディフェンダーです。
それなりに練習はしているつもりですが、これといって足が速いわけでもなく、ボールコントロールも決して上手とはいえません。
当然きれいなディフェンスはやられてしまういことが多いので、絶対に負けないという強い気持ちと、反則にならない程度に体をぶつけたり、腕で抑えたり、激しくタックルをしたりして、相手のフォワードを自由にさせないようにしています。
場合によってはファールで止める時もあります。

そんなプレイスタイルですが、少しはテクニックも身につけなければなと思い、川崎からはるばる浦和までフットサルに行ってきました。
個人参加といって、チームで参加するのではなく、フットサル場に個人個人が集まり即席でチームをつくり行うフットサルで、なかには50歳ちかいおじさんや女性も数人いました。
笑い声に包まれた暖かい雰囲気に誘われて、私も普段のサッカーでは決して見せることがない、シザースやエラシコという技を、ぎこちなくですが繰り出したりもしてみました。
決まると歓声がわきます。
失敗しても怒る人は皆無です。
普段のサッカーとは違った楽しさがそこにはありました。

開始から1時間を過ぎた頃でしょうか。
相手チームの妙齢の女性が、私にドリブルをしかけてきました。
女性といっても本格的にフットサルを行っていることは、格好や動きから容易に想像ができました。
その女性は1回2回と私の前でボールをまたぎました。
女性とは思えない見事な足さばきで私を抜き去ろうとしたその瞬間のことです。
私のタックルが彼女のボールとともに足に激しくヒットし、ボールはラインの外へ、彼女は宙へと舞いました。
競技ではなくエンジョイ志向、ましてやフットサルにも関わらず、抜かれるというディフェンダーにとっての最大の屈辱を避ける為に、気がつくといつものディフェンスが出てしまいました。
意識的というよりは脊椎反射といったほうがいいかもしれません。
私は周囲の冷ややかな視線のなか立ち上がり、5m先でうごめく彼女のもとに歩みより、
「大丈夫ですか!すみません!」
と謝りました。
するとどうでしょう、意外にも彼女はこう言いました。
「いえ、これくらい当たり前です。遊びだと思ってスネあてを持ってこなかった自分が悪いでんす」
スネあてとは、サッカーやフットサルをする際に、スネの部分につけなくてはならないプロテクターのようなものです。
それを聞いた私は、せめてものおもいで、
「よっかったら自分のスネあて使いますか?」
とソックスを下げスネあてを取り出しました。
「いえ、大丈夫です」
彼女は最初は断りましたが、
「痛めたところをもう一度蹴られたりしたらひどいことになるよ」
という50ちかいおじさんの全てを達観したような忠告に従い、私の付けていたスネあてを付けてプレイを再開しました。

開始から2時間が過ぎフットサルが終了すると、汗だくの彼女が私のもとへとやってきました。
「ありがとうございました。一応水道で洗ったんですけど」
そう言って私にスネあてを返しました。
「すみませんでした。大丈夫ですか?」
とスネあてをバッグに放り投げもう一度謝ると、
「個人参加のフットサルって、女だからってわざと抜かせる人もいるんです。頭きちゃう!本気でディフェンスしてくれて楽しかったです。また一緒にやってください!」
と彼女は微笑みました。
私は
「お願いします!」
と答えましたが、サッカーではなくフットサル、彼女とは属性が違い過ぎるし、ましてや遠いグラウンド。
名前も知らない彼女とは、もう一緒にプレイすることはないと感じると同時に、一期一会の意味の深さを再認識しました。


それにしても人生って不思議ですね。
その彼女が今じゃ私の妻なんですから。
彼女のメールアドレスが裏に書かれたスネあては、今でも二人の宝物です。





※この物語はフィクションです。
 著者の神崎大樹は未だ独身です。












テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/07/24(金) 00:44:43|
  2. 未分類
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
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コメント

感動しました。。。
  1. 2010/02/17(水) 21:20:43 |
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  3. はせ #-
  4. [ 編集]

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